カフェやお店にドッグランを併設することは、犬を連れたお客様にとって大変魅力的なサービスです。ここでは、カフェやショップに適したドッグランの設定ポイントについてご紹介します。
ポイントは犬種別や大きさで分けるという視点をもつことです。
そして、カフェとの併用は飲食系許可が必要になり、トリミングサロンやホテルの場合は動物取扱業が必要になります。
種別・体重 | 理想広さ フェンス高さ | 代表的犬種 | 特徴 |
---|---|---|---|
小型犬 10kg未満 | 30坪〜90坪 1.2m以上 | チワワ、ポメラニアン、ミニチュアダックスフンド、トイプードル、ヨークシャーテリア | 小柄で抱きやすく、屋内でも十分に運動できるため、アパートやマンションでの飼育に適しています。体力はあるものの、運動量が多くなくてもストレスが溜まりにくい傾向があります。 |
中型犬 10〜25kg | 90坪〜150坪 1.5m以上 | 柴犬、フレンチブルドッグ、ビーグル、コーギー、シェルティー | 小型犬よりも体力があり、ある程度の運動が必要です。適度な広さの室内や屋外で遊べる環境が望ましく、飼い主とのアクティビティを好む犬種が多いです。 |
大型犬 25kg以上 | 150坪〜 (150坪で大型5匹) 1.8m以上 | ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シベリアンハスキー、ジャーマンシェパード、バーニーズマウンテンドッグ | 広いスペースとしっかりとした運動が必要で、身体が大きいため、耐久性のある床材や家具が求められます。優しく穏やかな性格の犬種も多いですが、力も強いのでしっかりとしたトレーニングが重要です。 |
スペースについて
ドッグランの広さは、カフェやお店の敷地や利用する犬のサイズに合わせて設定します。小型犬から大型犬まで対応できるように、スペースをエリア分けすることも良いでしょう。これにより、犬同士の安全が確保され、オーナーも安心して利用できます。
安全性とセキュリティー
ドッグランエリアの塀の高さは、犬のサイズに合わせて設計し、飛び越えを防ぐことが大切です。また、複数の扉を設置し、それぞれに簡単なロック機能を備えることで、犬がランから脱走するリスクを減らせます。特に片手で開閉できるロックが理想的で、飼い主が片手でリードを持ちながらも操作できるように配慮します。フェンス下の隙間がない様にし、フェンス、地面から犬が逃走しないように考慮。また、地面側にブロックを埋めるなど、土を掘り逃走するなどがないよう、地面下に配慮がひつようです。
扉の設計
安全な出入りのために、大型のバネ蝶番付き扉を使用することをお勧めします。この蝶番を使えば、扉が自動的に閉まり、犬が押して開けることができません。また、入場する際に押して開け、退出時に引いて閉める構造にすることで、犬の飛び出しを防ぎます。扉は2ヶ所以上設置すると安全性が高まります。
地面の素材
犬の足に優しく、掃除のしやすい地面素材を選ぶことが重要です。人工芝を使用する場合、毛足の長さを犬のサイズに応じて調整し、快適に利用できるようにします。また、良好な排水性を確保することで、雨の日でも使用可能なドッグランにできます。
また、ランまでの通路など、一部犬が歩いて通る箇所に、肉球サイズの玉砂利を敷く。この事で、玉砂利を歩く際に指が玉砂利を掴み、指を鍛える効果に繋がります。
日陰とシェルター
夏場には日差しが強くなるため、日陰のあるエリアを設け、犬が暑さを避けられるようにします。オーニングや小型のシェルター、または自然の木陰を利用することで、涼しいスペースを確保できます。特に、カフェや店舗に併設する場合、居心地の良いドッグラン環境がリピーター獲得につながります。
遊具(インタラクティブな要素)
ドッグランに小型の遊具やアジリティ要素を加えることで、犬が楽しめる空間にすることができます。たとえば、トンネルや小さなランプを設置することで、犬が体を動かしながら遊べるスペースにできます。これにより、お客様が犬との遊び時間をより充実させることができ、カフェやお店の滞在時間が延びることも期待されます。
飼い主用の休憩スペース
中型犬や大型犬が多い場合、ドッグランと飼い主の休憩スペースの間に仕切りを設けることで、飼い主が安心して休憩できるようになります。このエリアでは飲食を楽しみながら、犬を見守ることができるため、飼い主と犬の双方にとってリラックスできる環境が提供できます。
シンボルツリー
店舗に併設するドッグランにシンボルツリーを植える場合、以下のような工夫をすることで木の健康を保ちながら、犬にとっても安全な環境を提供できます。
1. マーキング対策
シンボルツリーの周りを直径60cm以上の距離をとって大きめの石で囲い、犬が木に直接マーキング(尿をかける行為)しないようにデザインします。さらに、石の下の土を仕切りで囲むことで、犬が石に尿をかけた際もシンボルツリーの根に影響が及ばないようにします。この対策により、根腐れを防ぎ、木が枯れるのを防止できます。
2. 噛み遊び対策
シンボルツリーは、葉が付いている部分が地面から120cm以上の高さにあるものを選ぶのが理想です。例えば、超大型犬の肩の高さは約90cm、頭の位置はさらに+30cm程度になるため、120cm以上の高さにある葉や枝なら、噛み遊びのリスクが軽減されます。
3. 追加のフェンス設置
外観のデザインに応じて、シンボルツリーを小さなフェンスで囲む方法もおすすめです。これにより、犬が木に接近してマーキングしたり、葉や枝を噛んで遊んだりするのを防げます。
4. 日陰と根の保護
シンボルツリーの大きさや配置によっては、周囲に日陰を作り、ドッグラン内を快適にする効果も期待できます。ただし、マーキングによりシンボルツリーが枯れてしまうリスクがあるため、特に木が根を張る数年間はしっかりとしたマーキング対策が欠かせません。
運営者に対するアドバイス
ドッグランでの利用ルールに関する提案一般的に、ドッグランでは狂犬病やワクチン接種の証明を求めることが多いですが、それ以上に子供(人間)の利用ルールを設定することの重要性を感じます。
例えば、子供が犬を遊び半分で追いかけ回すことがあります。これを目にした他の犬が、「仲間が攻撃を受けている」と勘違いし、子供に対して攻撃的な行動を取る可能性があります。しかし、子供の親が状況を理解しておらず、子供を止めないことも多く、これが原因で母親と犬の飼い主の間にトラブルが発生することがよくあります。
また、このようなトラブルは犬同士の間でも起こります。中型犬や大型犬と小型犬の間で大きな体格差があると、遊びやコミュニケーションの違いが誤解を生み、争いが発生することがあります。
そのため、犬のサイズごとに分かれたドッグランエリアを設け、犬が安心して遊べる環境を提供することが望ましいです。