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ビレッジ戦略の狙い – ブランディングについて考える

ブランディングについて考える

目的1: 認知・想起、独自性(機能的価値)の特定

ブランディングの最初の目的は、自社の名前やブランド名を「知ってもらう」ことから始まります。しかし、単なる認知だけではなく、顧客の心に定着し、必要なときに自然と思い出してもらえることが重要です。この想起率を高めることが、ビジネスの成長に直結します。

想起率の最大化と独自性の役割
顧客がブランドを思い出すためには、「何が提供されているか」、そして「他のサービスとどう違うか」を鮮明に伝えることが不可欠です。
たとえば、日常的に利用されるコンビニチェーンを思い浮かべてみましょう。
• 「コーヒーといえばセブンイレブン」
• 「スイーツ・パンといえばローソン」
このように、消費者が特定のカテゴリで特定のブランドを即座に思い浮かべられるのは、それぞれの企業が独自性を明確に定義し、強みを打ち出しているためです。これこそがブランド戦略の核となる部分です。消費者が無意識に選択肢として思い浮かべる状態を目指すことで、競合他社との差別化を実現します。
ビレッジ戦略においては、店舗来店者から本業認知へ繋いでいく活動が肝になってきます。○○エリアで○○な住宅を建てるなら○○工務店と言われるためにブランディングをおこないます。

目的2: 情緒的価値(感情的価値・精神的価値)を付加する

次のステップとして、機能を超えた情緒的な価値を提供することが求められます。目的1で「何を提供するか」と「何が違うのか」を明確にするだけでは不十分であり、感情的な便益をブランドに組み合わせることで、顧客の心を動かすことが重要です。


大手企業と中小企業の情緒的価値の付け方の違い
大手企業では、タレントを起用して情緒的な価値を提供するケースが多く見られます。ブランド間の違いが少ない中で、好感度の高いタレントを使い、消費者に親しみを感じさせることで、購買意欲を高めるのが狙いです。
一方で、中小企業は、地域との関係社会的使命をブランド価値と結びつける必要があります。たとえば、企業の**存在意義(パーパス)**1を明確に示し、地域や社会に対する貢献を通じて、顧客とのつながりを強化することが求められます。

地域にとって「なくなると寂しい」存在を目指す
中小企業にとって、重要なのは「地域の生活に根付き、なくなったら寂しくなる存在」を目指すことです。単に商品やサービスを提供するだけでなく、顧客が生活の一部としてそのブランドを感じられることが、強い情緒的価値を生み出します。
このような企業は、地域住民に「あの店がなくなると生活が不便になる、寂しい」と思われる存在となり、競争を超えた感情的なつながりを構築することができます。こうしたつながりは、単なる価格や機能の競争では得られない、長期的な顧客ロイヤルティを生み出します。
その一つ、ショップやカフェであり、定期的なマルシェのようなイベントであります。

オープンハウスの「地域共創プロジェクト O EN HOUSE」はその一例
オープンハウスグループは、サンダーズの支援を通じて地域共創にも取り組んでいます。
・地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の活用
・自治体と民間の協力による高スペックアリーナの実現
・スポーツビジネスとコミュニティ拠点の融合
これらの活動を通じて、オープンハウスグループは単なるスポーツ支援にとどまらず、地域の文化振興と活性化に大きく貢献しています。

目的3: 会社を応援してもらう(融資・採用・インターン・社員モチベーション・取引先交渉)

商品やサービスの顧客だけでなく、従業員、投資家、取引先といったステークホルダーからの支援を得るためです。これは企業が持続的な成長を遂げる上で、組織内部外部からの支援を一体化するための重要な要素です。

ビレッジ戦略におけるブランディングの重要性

ビレッジ戦略の核となるのは、店舗来店者を本業の認知につなげ、長期的な関係を構築することです。定期的なショップやカフェの運営、地域密着イベント(マルシェ)などを通じて、企業は地域社会に溶け込み、「なくなると寂しい存在」を目指します。
さらに、地域や社会的課題への取り組みを明確にすることで、ブランドの感情的価値を高め、持続可能なビジネスモデルの構築を促進します。ブランディングは単なる認知や差別化にとどまらず、企業の価値観を伝え、顧客やステークホルダーとの深いつながりを築くための戦略です。特にビレッジ戦略では、地域社会との関係を強化し、顧客や従業員からの共感を得ることが重要です。これにより、企業は長期的な成長を実現し、地域にとってかけがえのない存在となることができます。

このような一貫したブランディングの取り組みによって、工務店は競争を超えた価値を提供し、未来に向けた持続的な発展の道を切り開いていくことができるでしょう。


ビレッジ戦略の詳しい情報はこちらの書籍から

工務店、不動産、庭・外構、リノベーション etc.住宅関連会社のためのVillage戦略(ビレッジ戦略)

本書で紹介する「Village戦略」(ビレッジ戦略)は、人口減少による「家あまりの時代」に、工務店・建設会社などのホームビルダー、ハウスメーカーをはじめ、不動産業、庭・外構関連の会社、リノベーション・リフォーム会社など、住宅関連の会社必見のビジネスモデルです。家を建て、庭をつくり、顧客に販売・提供していくこれらの住宅関連会社が、VUCAの時代に生き残り、事業を拡大していくためには必須のノウハウが書かれています。Village(ビレッジ)戦略の要諦は、グリーン&雑貨の店(グリーンショップ)を新に構え、そこを集客拠点とし、ファンをどんどん増やしていくことになります。これまでの住宅展示場や集客認知の方法論とはまったく違うアプローチです。グリーンショップのファン層を増やし、やがては、新築やリノベーション、外構の受注・成約に結び付けていきます。先が読めない「家あまりの時代」に、住宅関連業界の関係者・大注目のブランディング戦略、マーケット戦略です。本書ではこのVillage戦略を、5つの共創事例と戦術レベルのノウハウ、さらには行動経済学、社会学、最新のマーケット理論による裏づけまで含めてすべてを公開します。
Village戦略の提唱者である真崎健(Masaki,Takeshi)氏は、株式会社エスティナ/株式会社Birth&Rebirthの代表取締役であり、経営学(修士)。1976年東京都生まれ、2004年に広島にてエスティナ(庭・外構事業)を創業。2012年にVillage戦略を住宅業界に発信し始めました。同年、株式会社Birth&Rebirthを設立。以来、住宅関連企業を中心に集客、ブランディング・マーケティングの支援事業を展開しています。著者が提唱するVillage戦略は関連業界で大きな注目を集め、これまでに150社を超える会社が参画、現在も多くの住宅関連会社が取り組んでいます。
  1. なぜこの会社が存在するのか」「社会にどのような価値を提供するのか」という根本的な問いに答える概念です。
    近年、消費者や従業員は、企業のパーパスに共感し、その価値観や社会的な貢献が購買や就職の判断に大きな影響を与えています。特に持続可能な社会の実現や地域貢献といった活動を軸に、**社会的責任(CSR)環境・社会・ガバナンス(ESG)**への取り組みが重視されています。

    工務店において
    「地域の暮らしと自然を調和させる住まいづくり」
      → 地元の素材や植栽を使い、環境に配慮した家づくりを提案する。
    「家族とペットが共に安心して暮らせる住環境を提供する」
      → ペット共生住宅の開発や、ペットオーナー向けイベントを開催する。 ↩︎